誰にも言うなよ ~結婚式の後始末~

「おーい。
 開けてくれ~。

 玄関のチャイム鳴らないぞ~」

 この家、もっと手入れしろよ~、と啓介が窓の外でぶつくさ言うのが聞こえてきた。

「小日向先生っ!?」

 尊敬する小日向啓介の登場に、明巳は思わずといった感じで手を離した。

 どさりとほたるは放り出される。

「あ、すまん……」

「なにやってんだ。
 開けろ~っ!」

 外では啓介が窓を叩き続けている。

 カオスだ……。

 っていうか、偽嫁より、偽の義理の父――

 ですらない、小日向さん優先とかどうなんだ。

 まあ、お姫様抱っこで連れて逃げてくれようとしたときは、ちょっとときめいてしまったけど……、
とほたるは抱き抱えられて、間近に見た明巳の顔を思い出す。

 ちょっと照れてしまった。

 ……いや、床で打った腰は、ずっと痛いんだが。