誰にも言うなよ ~結婚式の後始末~

「生姜早く使わないと腐りますよね」

「冷凍したらどうだ?

 そうだ。
 今度、庭にいろいろ植えてみるか。
 生えてるやつなら、すぐに腐ったりしないだろ」

 ぐびりとビールを呑みながら、明巳が言う。

 そういえば、さっきから気になっていたのだが。

 このまな板の横にあるグラスに入ったビールは誰のだろう。

 明巳に訊いてみた。

「お前のに決まってるだろう……」

 他に誰がいるんだ、霊か、と言われる。

「いや、グラスについだけど、缶で呑みたくなったとか、あるいは、なにかの鎮魂の盃かと」

「誰が死んだんだ……」

 そう言ったあとで、二人は、ハッとした。

 また誰かが小窓から覗いているっ。

 明巳さんを連れて逃げなきゃっ、
とまた、ほたるは明巳の手を引いて逃げようとしたのだが。

 明巳は、そんなほたるを、ひょっと抱き上げると、お姫様抱っこで連れて逃げようとする。