誰にも言うなよ ~結婚式の後始末~

「おかえり」
とそり返ったまま明巳がこちらを見て言う。

「なにしてるんですか?」

 いや、なにしているのかは、よく見たらわかったのだが。

 明巳の手には、目薬があったからだ。

「ああ、目薬をさそうと……」

 一度起き上がり、また明巳は目薬をさそうとした。

 だが、目薬の先端から逃げるみたいに、そり返っていく。

「苦手なんですか……? 目薬」

 入れてあげましょうか?
と言ったが、明巳は、

「いや、お前、あ、手が滑りました、とか言って、目に目薬本体を落としてきそうだからいい」
と言う。

 そして、また、リンボーダンスのようなポーズをとる。

 後ろに巨大な手があるから、サーカスかなんかの一場面を見てるみたいだな、と思いながら、眺めていた。

「やっぱりさしてくれ」
と諦めたらしい明巳が目薬を突き出してくる。

 はあ、とほたるは荷物を床に置いて、背伸びをした。

 ほたるもそこそこ身長はあるが、明巳の背が高いので、目薬を持った手を高く掲げる。