響け!猛毒のグラーヴェ

ジョセフが少し多めに金貨を置いて席を立つ。レオンハルトとルートヴィッヒはそれを見送った後、また二人だけの思い出話に花を咲かせた。



普段より高い体温を感じながらレオンハルトは家へと帰る。時計の針はもうすぐ十二時になろうとしていた。

(明日からまたいつも通りの日常か)

少し寂しく感じてしまう。しかし、それをかき消すように酔っ払いの笑い声が響いてきた。レオンハルトも釣られるようにフッと笑い、夜道を歩いて行く。

その時、曲がり角を見慣れた人物が曲がってきた。リズである。楽しそうに鼻歌を歌いながら歩く彼女にレオンハルトは近付いた。

「リズ、今日は楽しめたかな?」

「レオンハルトさん!とても楽しかったです!」

リズは楽しそうにマーガレットとカナタと屋台を楽しんだことを話す。一緒の寮に住んでいるカナタがここにいないのは、「少し寄りたい場所がありますので、先に帰っていてください」と言われたためだという。