響け!猛毒のグラーヴェ

「夜じゃねぇ!!もう朝だ!!とりあえず入るぞ!!」

そう言い、アントーニョがドアが壊れんばかりの勢いで部屋に入ってくる。着ているのはパジャマではなかった。レオンハルトは少し驚いて窓の方を見る。もう太陽が登ろうとしていた。

「私は眠らずにこの絵の謎を考えていたのか」

「お前は推理に集中すると寝食忘れがちだからな。ていうか、今はそれどころじゃねぇんだよ!!」

アントーニョがレオンハルトの肩を掴む。その瞳には動揺があった。

「エミリー・ストーンがアトリエで倒れてた。……多分死んでる」

「何だって?」

レオンハルトはパジャマのままアントーニョと共に部屋を飛び出し、アトリエへと向かう。アトリエの前ではセバスチャン、マルティン、ルシアが立っている。三人とも動揺している様子だった。

「エミリー嬢は!」

レオンハルトがアトリエに駆け込む。妖精が倒れているエミリーの脈を測っていた。しかし、彼女は顔を上げて首を振る。セバスチャンが「警察を呼びます」と走って行った。