響け！猛毒のグラーヴェ

エミリーはそう言い、棚の上に置かれたじゃがいもをレオンハルトに放り投げる。レオンハルトはそれを手で受け取ったものの、意味がわからなかった。じゃがいもに何の意味があるというのだろうか。

「エミリー嬢、これはどういう意味ですか？」

しかし、レオンハルトに質問にエミリーが答えることはなかった。彼女はアントーニョを見て頰を赤く染めている。

「わぁ！！あなた、すごくいい！！筋肉質でガッチリしていてパーフェクトだわ！！あなたにはこれをあげる！！」

「は、はぁ……」

アントーニョにエミリーは林檎を渡した。アントーニョは困惑した表情をレオンハルトに向ける。しかし、彼自身もじゃがいもの意味がわからない。

（じゃがいもの花言葉だろうか？でも花言葉は慈愛や恩恵。エミリー嬢が伝えたい言葉だとは思えない……）

レオンハルトが考え込んでいると、エミリーがアントーニョの手を取った。突然触れられたことにアントーニョは「ひぇ！」と声を上げて驚く。この場にオルハンがいたならば、間違いなく今の彼を笑うだろう。