響け!猛毒のグラーヴェ

「招待してくれたことだし、出席してくるよ。出席したらすぐに帰る」

家を継いでいないとはいえ、レオンハルトは貴族の出身だ。貴族同士の繋がりの大切さは幼い頃から両親に教えられてきた。多少面倒でも行かなくてはならない。すると、リズが不安そうな顔で近付いてくる。

「本当に行かれるんですか?その、エミリーさんは……」

チラリと彼女の目が開けられたままの雑誌に向いた。リズの心の中にある心配を察し、レオンハルトはニコリと笑う。

「リズは何も心配しなくていいよ。事務所のことをお願いしてもいいかな?」

「はい。もちろんです」

リズが微笑む。あの夜のような艶はない。しかし、レオンハルトの目は彼女から離せなかった。

「あのさ、レオン。俺も晩餐会に行っていいか?」

アントーニョがそう言い、レオンハルトは「構わないよ」と頷く。アントーニョは少し嬉しそうだった。

「最近、あまりビオロンセロに帰ってなかったからな。ありがと」