響け！猛毒のグラーヴェ

得意げに語るオルハンを前に、アントーニョの顔は真っ赤に染まっている。いつ乱闘が起きてもおかしくない空気だ。レオンハルトは咳払いをし、手紙の内容を伝える。

「この手紙はエミリー・ストーンという女性が送ってきたものだ。どうやら晩餐会に出席してほしいらしい」

「エミリー・ストーンって聞いたことあるわ！最近話題になってる芸術家よ！」

マーガレットが雑誌を取り出してページを広げる。そこには、無数の蛇の髪の毛を持った美しいメドゥーサの女性が誇らしげにインタビューを受けている様子が写っていた。

「綺麗な人だな。性格キツそうだけど」

アントーニョがエミリーを見つめる。カナタもその写真を見て言った。

「エミリー・ストーンって両親は大富豪らしいですね。既婚者に手を出すトラブルを何度も起こしたからビオロンセロにある別荘に追い出されたって聞きました。本当かどうかわかりませんけど」

既婚者に手を出すトラブル、と聞いてオルハンとアントーニョが顔を顰めた。レオンハルトは手紙の話に戻る。