そんな双子らしい息ぴったりの行動に思わず笑みをこぼしていると、母がリビングに顔を出して「準備できたわよ~」と私に声をかける。

「じゃあ二人とも、行ってくるね」

「「いってらっしゃーい」」

また二人が息ぴったりにそう言った。

微笑ましく思いながらリビングを出て、母と共に玄関へ向かう。

動きやすいスニーカーを履いて、つま先をトントンと軽く床に打ち付ける。

「車で行くわよ」

母は私を車のガレージに誘導する。

母が運転席、私が後ろの席に乗ると車は発車した。

「今日はどこ行くの?」

車がどこかへ向けて進んでしばらく、私は自ら作っていた沈黙を破るべくそう言った。

「ん~?それはね、私の仕事で関わりのある場所。色々知ってくれているから結構役に立ってくれるしそこでほとんど終わると思うわ」

「ふ~ん」

聞いたのは私だけど興味がなくなり、適当に返事してスマホを取り出した。

スマホ片手に男の子としての振る舞いを調べる。

レッスンには俳優や声優としてのものも含まれていたため、演技はできるが……男の中で一人男装女子として加わるのが超不安だ。

そんなことを脳内でぐるぐる考えている間に、瞼が重くなり眠りについてしまった。