「いや、別に…さっきも言ったけど、私はデビューするためにレッスン受けてきたんだよ?男であろうが女であろうが、デビューするのは同じことなんだから」
サラッとそう言った私に、両親は驚いたのか目を丸くさせている。
「それより、どうして急にオーディション?」
私がそう聞くと、父の前に母が話し始めた。
「実はね……今所属してくれている子たち、本当にいい子ではあるんだけど…少しずつそれぞれにかけてしまっているところがあって、グループ内でそれを補うことができていないの」
そう言って、母も父と同じように眉を八の字にして困ったような顔をする。
それに、マスターに所属して活動している母がそう言うと父よりも説得力がある。
そんなことを思いながら、相槌を打つ。
「それで、それぞれがそれぞれを補うことができる、うちの事務所史上最高のグループを作ろうっていうことになってね。その最高のグループを作るにはオーディションが最適だって」
そう言う母は笑顔になった。
母の言うことには一理ある。マスターのアイドルグループって時々バラバラなところがあるから。
それに、マスターは事務所設立当初から着々とキャリアを積み上げて大手事務所にまで上り詰めたんだから。
「……絃ちゃん、もう一度聞くわね。これで最後よ」
すると、両親は急に神妙な顔つきになった。
「何?」
「本当にいいんだな、男装アイドルで。男としてオーディションを受ける、で」
父が「これで最後だぞ」とでも訴えてくるようにそう言う。
「もちろん。私は何度でも言うよ。デビューするためにレッスンを受けてきたの。男でも女でもデビューするには変わりない」
私はそんな決意を揺るがせず、両親にまっすぐぶつけた。
「………それに、二人に過酷なレッスンをさせられるわけがないしね」
そして、私の本音も。
小さな小さな声で、二人に聞こえないように。
二人っていうのは、私より後に産まれた私の大好きで大切な弟妹だ。
名前は萩原名衣と萩原名緒の双子だ。
二人ともまだ私より四つ下の小学四年生。
サラッとそう言った私に、両親は驚いたのか目を丸くさせている。
「それより、どうして急にオーディション?」
私がそう聞くと、父の前に母が話し始めた。
「実はね……今所属してくれている子たち、本当にいい子ではあるんだけど…少しずつそれぞれにかけてしまっているところがあって、グループ内でそれを補うことができていないの」
そう言って、母も父と同じように眉を八の字にして困ったような顔をする。
それに、マスターに所属して活動している母がそう言うと父よりも説得力がある。
そんなことを思いながら、相槌を打つ。
「それで、それぞれがそれぞれを補うことができる、うちの事務所史上最高のグループを作ろうっていうことになってね。その最高のグループを作るにはオーディションが最適だって」
そう言う母は笑顔になった。
母の言うことには一理ある。マスターのアイドルグループって時々バラバラなところがあるから。
それに、マスターは事務所設立当初から着々とキャリアを積み上げて大手事務所にまで上り詰めたんだから。
「……絃ちゃん、もう一度聞くわね。これで最後よ」
すると、両親は急に神妙な顔つきになった。
「何?」
「本当にいいんだな、男装アイドルで。男としてオーディションを受ける、で」
父が「これで最後だぞ」とでも訴えてくるようにそう言う。
「もちろん。私は何度でも言うよ。デビューするためにレッスンを受けてきたの。男でも女でもデビューするには変わりない」
私はそんな決意を揺るがせず、両親にまっすぐぶつけた。
「………それに、二人に過酷なレッスンをさせられるわけがないしね」
そして、私の本音も。
小さな小さな声で、二人に聞こえないように。
二人っていうのは、私より後に産まれた私の大好きで大切な弟妹だ。
名前は萩原名衣と萩原名緒の双子だ。
二人ともまだ私より四つ下の小学四年生。



