雅さんはそう言いながら、一冊の雑誌を私に差し出した。

見てみると、男物の雑誌でいくつか付箋が張ってある。

そこを開けてみてみると、メンズのヘアカタログで、付箋のページはすべて髪型について書かれてある。

「分かりました！」

私は雅さんが髪を切るのを再開したので、ヘアカタログに目を向けた。

う～ん、正直どんなんでもいいんだけど……。
男子の髪型とか全然興味ないしー……。

少しの間じっくりと呼んでいたけど、退屈に思ってしまい顔を上げた。

「あら、もう決まったの？」

丁度髪の毛を切り終えたところで、切られた髪をパッキングしながらそう言った。

「いいえ、私にはこういうのってよく分からなくて……私に似合うような髪型にしてほしいです」

私は鏡越しに映る、すっかりボブカットになってしまった自分を見つめながらそう言った。

それから、雅さんに雑誌をスッと差し出して「ありがとうございました」と言う。

「あら、そうなの？じゃあ私、絃ちゃんに試してみたい髪型があるからそれを試すわ」

雅さんはそう言って、私が差し出した雑誌を受け取る。

雅さんは髪の毛を触り、ブラシで梳かしながら何かをブツブツと呟く。

ブラシで全体を梳き終わった後、ブラシをしまいさっきとはまた違うハサミを手に取った。

そして、私の髪にハサミを近づけてザクッという心地よい音と共に私の髪が床に舞い落ちた。