「来栖さん、こんばんは。お待ちしていました」
「こんばんは。今日は無理を言ってすみません」
なんとかマスターに挨拶するものの、顔はこわばったままだ。
マスターは特に詮索することもなく「私は裏で作業してますので、ごゆっくり」と言って去っていった。
想は顔を上げて、静まり返った店内を見渡す。
先程見た小夜の姿は幻だったかのように、ピアノだけが残されていた。
(これもブルームーンの奇跡なのか? 今夜ここで『小夜曲』を弾いて彼女への気持ちを昇華しようとした俺に、もう一度だけ夢を見せてくれたのだろうか)
最後に小夜に会えた。
そして彼女のピアノを聴くことができた。
ようやくそのことが喜びに変わる。
(俺も演奏で応えよう。彼女の気持ちに)
想はグッと拳を握ると、表情を引き締めてピアノに近づいた。
「こんばんは。今日は無理を言ってすみません」
なんとかマスターに挨拶するものの、顔はこわばったままだ。
マスターは特に詮索することもなく「私は裏で作業してますので、ごゆっくり」と言って去っていった。
想は顔を上げて、静まり返った店内を見渡す。
先程見た小夜の姿は幻だったかのように、ピアノだけが残されていた。
(これもブルームーンの奇跡なのか? 今夜ここで『小夜曲』を弾いて彼女への気持ちを昇華しようとした俺に、もう一度だけ夢を見せてくれたのだろうか)
最後に小夜に会えた。
そして彼女のピアノを聴くことができた。
ようやくそのことが喜びに変わる。
(俺も演奏で応えよう。彼女の気持ちに)
想はグッと拳を握ると、表情を引き締めてピアノに近づいた。



