Blue Moon〜小さな夜の奇跡〜

次の週末。
小夜はバーでの演奏に光を連れて来た。
ステージの前に、マスターとクリスマスコンサートの打ち合わせをする。

「じゃあ、まずは光くんのソロから始めて四曲ほど。次に藤原さんが合流してセッション。そのあとはいつものように藤原さんのソロステージ。この流れでいいかな」
「はい。曲はどれもクリスマスにちなんだものを選びます」
「店内の装飾もクリスマスムード一色にするよ。この日はメニューもスペシャルで、予約制なんだ。若いカップルもいらっしゃるから、新規のお客様に是非ともリピーターになっていただきたいと意気込んでる」
「プレッシャーがハンパないですけど、精一杯がんばります」

打ち合わせを終えると、マスターはカウンターに戻った。
小夜は演奏の準備の為に控え室へと向かう。
光はご機嫌で、口笛でクリスマスソングを吹きながらついて来た。
荷物を置いた小夜はジロリと光を振り返る。

「ちょっと、光くん。私、着替えるんだけど」
「どうぞ?」
「はっ? なに言ってんのよ」
「あ、手伝えってか? わかった」
「ギャー! 触んないでよ。ほら、早く出て行って」
「恥ずかしがり屋だなあ、小夜ちゃんは」
「うるさいってば」

光の背中をグイッと押して部屋から追い出すと、やれやれとため息をついてからドレスに着替えた。