(こんな歌詞だったなんて……。あの人がずっと辛い状況にいたなんて。あの夜、彼は安らぎを見つけられた? 私と過ごした、あの夜に)
止めどなく涙が溢れてそれ以上は弾けず、ただ呆然と楽譜を見つめた。
「小夜……、どうした!?」
光が小夜の顔を覗き込む。
小夜は涙を拭って背を向けた。
「なんでもない」
「そんな訳ないだろ?」
「ほんとになんでもないから」
「嘘つけ。なにがあった? 誰かに酷いことされたのか? 誰がお前にそんな顔をさせるんだ?」
「本当に違うから」
「小夜!」
光は強引に小夜の両肩に手を置いて振り向かせた。
「誰なんだよ、そいつは。言えよ!」
「言えないの!」
悲痛な叫びと共に、小夜の目から涙がほとばしる。
「……小夜」
光の手から力が抜けた。
小夜は懸命に涙をこらえながら呟く。
「……忘れられない人が、いるの」
「え……?」
「二度と会えないし、会ってはいけない人。だけど私、どうしても彼を忘れられない。ううん、忘れたくない」
「小夜……」
光は両手で小夜を胸に抱き寄せた。
「……離して、光くん」
「離さない。こんな辛そうな小夜を放っておけない」
光は更に力を込めて、小夜を強く抱きしめる。
「小夜が誰を想っていてもいい。俺以外の男のことを考えていても構わない。ただ、そばにいて守りたい。少しでも小夜の心を温めたいんだ」
耳元で聞こえる光の言葉に、小夜は息を呑んだ。
「小夜、俺がついてるから。小夜の気持ちが癒えるまで、ずっと」
「でも……」
「なにも考えなくていい。今はまだ恋人じゃなくてもいいんだ。小夜を一人にはしたくない」
そう言うと、光は少し身体を離して小夜の顔を覗き込む。
「小夜、これだけは覚えておいて。小夜は一人じゃない。辛い時には俺を頼れ。わかったか?」
小夜はなにも答えられない。
頷くことも、首を振ることも。
それでいいんだと言うように、光はもう一度小夜の頭を優しく抱き寄せた。
止めどなく涙が溢れてそれ以上は弾けず、ただ呆然と楽譜を見つめた。
「小夜……、どうした!?」
光が小夜の顔を覗き込む。
小夜は涙を拭って背を向けた。
「なんでもない」
「そんな訳ないだろ?」
「ほんとになんでもないから」
「嘘つけ。なにがあった? 誰かに酷いことされたのか? 誰がお前にそんな顔をさせるんだ?」
「本当に違うから」
「小夜!」
光は強引に小夜の両肩に手を置いて振り向かせた。
「誰なんだよ、そいつは。言えよ!」
「言えないの!」
悲痛な叫びと共に、小夜の目から涙がほとばしる。
「……小夜」
光の手から力が抜けた。
小夜は懸命に涙をこらえながら呟く。
「……忘れられない人が、いるの」
「え……?」
「二度と会えないし、会ってはいけない人。だけど私、どうしても彼を忘れられない。ううん、忘れたくない」
「小夜……」
光は両手で小夜を胸に抱き寄せた。
「……離して、光くん」
「離さない。こんな辛そうな小夜を放っておけない」
光は更に力を込めて、小夜を強く抱きしめる。
「小夜が誰を想っていてもいい。俺以外の男のことを考えていても構わない。ただ、そばにいて守りたい。少しでも小夜の心を温めたいんだ」
耳元で聞こえる光の言葉に、小夜は息を呑んだ。
「小夜、俺がついてるから。小夜の気持ちが癒えるまで、ずっと」
「でも……」
「なにも考えなくていい。今はまだ恋人じゃなくてもいいんだ。小夜を一人にはしたくない」
そう言うと、光は少し身体を離して小夜の顔を覗き込む。
「小夜、これだけは覚えておいて。小夜は一人じゃない。辛い時には俺を頼れ。わかったか?」
小夜はなにも答えられない。
頷くことも、首を振ることも。
それでいいんだと言うように、光はもう一度小夜の頭を優しく抱き寄せた。



