「想、新曲のレコーディングの予定立てたぞ。今回はピアノだけのアコースティックな感じじゃなくて、バンドも入れてノリのいい曲に仕上げよう」
「はい」
本田の言葉に、想はいつものように無機質な返事をする。
本田に渡した楽譜は自分のもとを離れ、あれよあれよという間に色んな手を加えられていた。
編曲者がバンド用にアレンジし、トランペットの音も入れたいからと勝手に対旋律を作ったり、ドラムやベース、ギターが派手に盛り上げたり……。
(それでいいんだ。いい加減、慣れないと。今の俺にはぴったりのシチュエーションだな。まさに『真夏のピエロ』だ)
自嘲気味な笑みで己を慰める。
「タイトルに合わせて八月の初旬にリリースしたい。大急ぎでレコーディングの準備をしたんだ。一発で決めてくれると助かる。頼んだぞ」
「わかりました」
こだわって何テイクも撮る気にはなれない。
一発撮りでいい。
そうやって感情を押し殺しながら、ずっとこの先も生きていくのだろうか。
ふと不安がよぎり、それを振り切るように想は唇を噛みしめた。
「はい」
本田の言葉に、想はいつものように無機質な返事をする。
本田に渡した楽譜は自分のもとを離れ、あれよあれよという間に色んな手を加えられていた。
編曲者がバンド用にアレンジし、トランペットの音も入れたいからと勝手に対旋律を作ったり、ドラムやベース、ギターが派手に盛り上げたり……。
(それでいいんだ。いい加減、慣れないと。今の俺にはぴったりのシチュエーションだな。まさに『真夏のピエロ』だ)
自嘲気味な笑みで己を慰める。
「タイトルに合わせて八月の初旬にリリースしたい。大急ぎでレコーディングの準備をしたんだ。一発で決めてくれると助かる。頼んだぞ」
「わかりました」
こだわって何テイクも撮る気にはなれない。
一発撮りでいい。
そうやって感情を押し殺しながら、ずっとこの先も生きていくのだろうか。
ふと不安がよぎり、それを振り切るように想は唇を噛みしめた。



