翌朝。
ぼんやりと目を開けた想は、しばし天井を見つめてからハッとして身体を起こす。
隣に目を向けると、既に小夜の姿はなかった。
シーツに手を滑らせると、ほんの少し温もりだけが残っている。
(確かにこの手で触れたのに……)
やはりすり抜けて行ってしまった。
サイドテーブルに『謝礼』と書かれた例の封筒が置いてあり、その横のメモに綺麗な文字が並んでいるのが見えた。
【来栖さんへ 素敵な夜をありがとうございました。小夜】
はあ、と想は大きなため息をつく。
(これでいいんだ。こうするしかなかったんだ)
そう己に何度も言い聞かせた。
ずっと心の中に大切にしまっておこう。
永遠に残る、奇跡のような夕べのあの時間を。
「……小さな夜をありがとう、小夜」
メモを手に取り、想はポツリと呟いた。
ぼんやりと目を開けた想は、しばし天井を見つめてからハッとして身体を起こす。
隣に目を向けると、既に小夜の姿はなかった。
シーツに手を滑らせると、ほんの少し温もりだけが残っている。
(確かにこの手で触れたのに……)
やはりすり抜けて行ってしまった。
サイドテーブルに『謝礼』と書かれた例の封筒が置いてあり、その横のメモに綺麗な文字が並んでいるのが見えた。
【来栖さんへ 素敵な夜をありがとうございました。小夜】
はあ、と想は大きなため息をつく。
(これでいいんだ。こうするしかなかったんだ)
そう己に何度も言い聞かせた。
ずっと心の中に大切にしまっておこう。
永遠に残る、奇跡のような夕べのあの時間を。
「……小さな夜をありがとう、小夜」
メモを手に取り、想はポツリと呟いた。



