セカンドステージの時間になった。
想が姿を現しただけで、店内は拍手に包まれる。
誰もが想の一挙手一投足に注目していた。
想はピアノに左手をついて、ぐるっと店内を見渡してからお辞儀をする。
拍手に応えるように小さく頷くと、おもむろに椅子に座った。
(どんな曲から始まるのだろう)
この場にいる全員が、そう思っているに違いない。
期待を一身に背負って、想はゆったりと鍵盤に両手を載せた。
『Big Spender』
どこか懐かしいミディアムテンポの曲に、そう来たか!と人々は口元に笑みを浮かべる。
肩の力を抜き、心地良く音に身を任せた。
だが二曲目は、ぐっとテンポを上げる。
『Sing, Sing, Sing』
おお!と、どよめきが起き、自然と手拍子が始まった。
店内の雰囲気がガラリと変わり、一気に熱を帯びる。
そのままのスピード感で、ウエスト・サイド・ストーリーの『アメリカ』と『マンボ』に移る。
ピアノで表現されるパワフルでパーカッシブなリズムに、小夜は圧倒されるばかりだった。
疾走感のあと、ゆったりとした空気が戻ってくる。
即興で繋いだあと、聴こえてきたのはキャッツの『Memory』
小夜の胸に切なさが込み上げる。
うつむいて過去の思い出に浸っているような観客は、次の曲が始まると視線を上げて、ほう、と息をもらした。
『Moon River』
再び月へといざなわれ、小夜は窓の外の満月に目をやった。
(奇跡のような夜。もう二度とこんな瞬間はやって来ないの?)
寂しさにとらわれた時、静かに静かに、次のメロディが紡がれた。
Sarah McLachlanの『ANGEL』
ギュッと心臓を鷲掴みされたような気がして、小夜は思わず胸元を握りしめる。
切ない調べに胸が張り裂けそうになり、涙が溢れてきた。
やるせなさにどうしようもないほど苦しくなり、嗚咽をもらしそうになる。
すると曲調が優しいものに変わった。
『What a Wonderful World』
労るような温かさに包まれ、心がホッとほぐれていく。
寄り添うような優しさに満ちた想のピアノに、誰もが幸福感を覚えた。
やがて最後の一音が空気に溶けていく。
静寂が戻り、皆のため息がもれる。
そして大きな拍手が想に贈られた。
何度お辞儀をしても鳴り止まない拍手に、想は再びピアノに向かう。
アンコールは『Desperado』
心に直接語りかけてくるような、魂を揺さぶられるようなバラード。
想はただピアノに向き合い、自分のすべてをさらけ出すように奏でる。
その想いに、誰もが胸を打たれていた。
想が姿を現しただけで、店内は拍手に包まれる。
誰もが想の一挙手一投足に注目していた。
想はピアノに左手をついて、ぐるっと店内を見渡してからお辞儀をする。
拍手に応えるように小さく頷くと、おもむろに椅子に座った。
(どんな曲から始まるのだろう)
この場にいる全員が、そう思っているに違いない。
期待を一身に背負って、想はゆったりと鍵盤に両手を載せた。
『Big Spender』
どこか懐かしいミディアムテンポの曲に、そう来たか!と人々は口元に笑みを浮かべる。
肩の力を抜き、心地良く音に身を任せた。
だが二曲目は、ぐっとテンポを上げる。
『Sing, Sing, Sing』
おお!と、どよめきが起き、自然と手拍子が始まった。
店内の雰囲気がガラリと変わり、一気に熱を帯びる。
そのままのスピード感で、ウエスト・サイド・ストーリーの『アメリカ』と『マンボ』に移る。
ピアノで表現されるパワフルでパーカッシブなリズムに、小夜は圧倒されるばかりだった。
疾走感のあと、ゆったりとした空気が戻ってくる。
即興で繋いだあと、聴こえてきたのはキャッツの『Memory』
小夜の胸に切なさが込み上げる。
うつむいて過去の思い出に浸っているような観客は、次の曲が始まると視線を上げて、ほう、と息をもらした。
『Moon River』
再び月へといざなわれ、小夜は窓の外の満月に目をやった。
(奇跡のような夜。もう二度とこんな瞬間はやって来ないの?)
寂しさにとらわれた時、静かに静かに、次のメロディが紡がれた。
Sarah McLachlanの『ANGEL』
ギュッと心臓を鷲掴みされたような気がして、小夜は思わず胸元を握りしめる。
切ない調べに胸が張り裂けそうになり、涙が溢れてきた。
やるせなさにどうしようもないほど苦しくなり、嗚咽をもらしそうになる。
すると曲調が優しいものに変わった。
『What a Wonderful World』
労るような温かさに包まれ、心がホッとほぐれていく。
寄り添うような優しさに満ちた想のピアノに、誰もが幸福感を覚えた。
やがて最後の一音が空気に溶けていく。
静寂が戻り、皆のため息がもれる。
そして大きな拍手が想に贈られた。
何度お辞儀をしても鳴り止まない拍手に、想は再びピアノに向かう。
アンコールは『Desperado』
心に直接語りかけてくるような、魂を揺さぶられるようなバラード。
想はただピアノに向き合い、自分のすべてをさらけ出すように奏でる。
その想いに、誰もが胸を打たれていた。



