りんと奏都が校門近くを歩いていると、見覚えのない女性が校舎を見上げて立っていた。
大人になった彼女。
写真の面影がそのまま残る、穏やかな雰囲気の女性だった。
「……あの、ここに柊先生は……」
控えめに声をかける彼女。
りんは胸がどきんと鳴った。
この人……! 写真に写ってた……!
そのあと研究室で再会する柊先生と彼女。
驚き、言葉を探しながらも、どこかほっとしたように微笑み合う二人。
りんと奏都は扉の外から、こっそり見守る。
「先生……」
「うん」
りんと奏都は目を合わせる。
“この先は、もう先生たちの物語だ”と、自然にそう思えた。


