「——霧島くん。わたし、知りたい。
このノートに書いてある内容のことや、”わたしたちに何があったのか“。
……教えてほしい」
何かを知っている霧島くんと、何も知らないわたし。
それがすごくもどかしい。
知りたい。
そして、何かわたしにできることがあるから……力になりたいって思うから。
瞳を揺らした霧島くんは、しばらくしてポツリポツリと話し始めた。
「俺と星川は……元々“ペア”だった」
「……ぺ、ペア……?」
唐突すぎて、意味が追いつかない。
“ペア”って、なに? 勉強とか部活とかの話じゃないよね?
「あるアプリのせいで……俺と星川さんは、一緒にミッションをこなすことになったんだ」
「アプリ……?」
胸の奥で、なにかがざわついた。
やっぱりアプリという単語を聞いた瞬間、背筋がすっと冷たくなる。
「いろんなミッションがあったんだ。手をつないだり、お互いの好きなところを言ったり」
「えっ!?」
「放課後デートをしたりもした」
「えええ!?」
なにそれ!?
わたしたち、そんなことしてたの!?
わたし、そんな状況に耐えられてたの!?
「……もしかして、思い出した?」
霧島くんがわざとニヤッと笑う。
「星川さん、意外と積極的だったから」
「な、なななにそれ!? ぜっっっったい嘘!!」
顔が熱くて、もう爆発しそう。
でも彼の視線は、からかってるだけじゃなくて……どこか切なげだった。
「──本当だよ。俺と星川さんは、そういう時間を一緒に過ごした」
どくん、と胸が高鳴る。
冗談なのか、本気なのか。
でも、その言葉の響きだけは、不思議と“懐かしい”と感じた。


