恋愛禁止ダンジョン、攻略中。





「……あれ?」





お昼休み、ちょっと静かな場所でお弁当食べたいな〜と思って、人気の少ない図書室前の廊下に来てみた。

そしたら──





「星川さん?」





後ろから声をかけられて、振り返ると霧島くんがいた。





「えっ、霧島くん!? びっくりした……」

「ごめん。そんな驚く?」

「だって、全然気配なかったんだもん……忍者かと思った」





笑いながら言うと、彼はちょっとだけ肩をすくめて笑った。





「忍者ね。わりと得意かも、気配消すの」

「えっ、実は本職?」

「違うわ」





くだらない冗談に、つい笑ってしまう。
この感じ、なんだろう。前にもあったような──





「ここ、星川さんも好き?」

「え? あ、うん。静かで落ち着くなって思って」

「偶然だね。俺もここで、よく……」





そこで霧島くんがふと口ごもった。
でもすぐに、目を細めて微笑む。





「……いや、なんでもない」





……なに? 今の。


どこか“懐かしさ”を含んだ表情。
やっぱり、前にもこんな会話をした気がする。全然思い出せないけど。





「お弁当、ここで食べる?」

「うん。空いてるベンチにしようかな」

「なら、俺も一緒にいい?」

「えっ……いいの? っていうか……一緒に食べたいの?」

「あれ? 迷惑だった?」

「い、いや、別に、そーいうわけじゃ……!」





あわあわしてると、彼はクスッと笑う。





「そっか、よかった」





──ずるい。

なんでこの人、こんなに自然に距離を詰めてくるの?
ドキドキするからやめてほしい。
……いや、やめてほしくないかも。





「てか、霧島くんってさ、意外と……」

「うん?」

「……いや、なんでもない!」

「なんだよ、それ。気になる」





からかうような目。笑ってるくせに、少しだけ真剣みもあるような顔。