「なにか探しもの?」
「え、あ……はい。文化祭の資料をちょっと」
とっさに手元のファイルを閉じ、後ろに隠す。
我ながら不自然な動作だったと思うけれど、先生は特に突っ込まず、ただ頷いた。
「そう。行事資料はこの辺に集めてあるから、見つかるといいね」
「……ありがとうございます」
「それにしても、“恋愛研究委員会”か」
一瞬、心臓が跳ねた。
「えっ?」
「そのファイル、懐かしいな。昔、在学中にちょっとだけやってた。非公式の委員会でね」
「……知ってるんですか?」
「知ってるもなにも、当時の委員長だったから」
軽く笑う先生。
けれど、その目は笑っていなかった。
さっき見た通りだ。先生の名前があった。
「今はもう活動してないんですか?」
「うん。色々とあってね。記録は残ってるけど、生徒会から正式な認可も下りなかったし」
「……へえ」
私は乾いた相槌を打つしかなかった。
“恋愛ゲーム形式の提案”──あれは、一体……。


