俺は再び図書室の奥、資料室へやって来た。
——前までは2人だったが、今日は1人。
そこで見つけたログ履歴。
そこにあったのは、学校の職員用端末のアクセス記録だった。
……日付は、3ヶ月前。
時間は、夜の7時半。
この端末……確か、数学準備室のパソコン。
偶然じゃない。
この学校で、夜の校舎に残っている大人は限られている。
俺の脳裏に、一人の人物が浮かんだ。
──柊先生。
数学担当で、まだ若い教師。
優しくて、無駄に怒鳴ったりしない。
どこかクールで、生徒にも人気がある。
でも……俺は知ってる。
この“恋愛禁止ゲーム”の中にある謎の数式。
説明のない、ステージ番号の計算ロジック。
一部ミッションの制限時間に仕掛けられた“数式ギミック”。
あれは偶然じゃない。
あの数式……数学が得意な人間じゃなきゃ、組み込めない。
そして、この学校でそのレベルの知識を持っている大人は──
「……柊先生、なのか?」
口にした瞬間、なんとも言えない寒気が背を走った。
もし、教師が関わっていたら。
しかも、記憶を操作するようなゲームに。
俺は今、ただの「ときめき度」にビビっていた頃とは別の意味で怖がっていた。
だけど。
それでも。
知りたい。……彼女の“記憶”が消された理由を。


