恋愛禁止ダンジョン、攻略中。




放課後。
廊下ですれ違ったとき、りんがふとこちらを見て、小さく笑った。

──ほんの数秒のことなのに、時間が止まったみたいだった。





「……あ、霧島くん。お疲れさま!」

「……うん。お疲れ」





──そのやり取りだけで、胸がいっぱいになるなんて。


その笑顔の裏に、過去の記憶がほんの少しでも残っていてほしい。
けれど、それは望みすぎなのかもしれない。


だけど、諦める理由にはならない。


俺は知っている。
りんはどんな笑い方をするか。
顔を赤くさせて、照れた顔とか。
不安そうな顔をしながらも、俺を頼ってくれたところとか。


そして、
恋バナのミッションのとき、どんな顔で俺に「それ、私のことじゃん…!」と言ったか。


一緒に過ごした時間のすべてが、今もこの胸に焼きついている。


全部、覚えてる。
全部、忘れたくない。


また、もう一度──
彼女に恋をさせるために。