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翌朝。教室に入った瞬間、りんはあちこちから声をかけられた。
「ねえねえ、昨日のミッション、大丈夫だった?」
「りん、霧島くんと手つないだんでしょ!?」
「キュン来た!?ぶっちゃけどうだった!?」
「え、ちょっと待って、質問多すぎ!ていうか、どこから見てたの!?」
りんは机に座りながら両手をぶんぶん振る。
なにこれ、有名人?いや、恋リア番組出てた?マイク向けられるやつ?
教室の女子たちがまるでレポーターのように詰め寄ってくる。
「だってさ、りんってば恋愛興味なさそうだったから。キュンキュンしたのか気になって!」
「え?うーん……さすがに気まずかったけど」
「恋愛禁止って言われると、逆に意識しちゃうよね〜」
「うちなんて、相手があの岸くんだよ?ツンツンしてて全然話通じない!」
大興奮のみんなのおかげで、気づけばりんの話は流れていた。
……みんなもそれぞれ大変なんだ。
なんとなく「わかる〜」と相づちを打ちながらも、りんは心の中で思っていた。
でも……霧島くん、けっこうふつうにいい人だったな。なんか……また話してみたい、かも。


