「……え?」
りんがふと視線を上げたときだった。
資料室の天井隅。白くて小さな、どこにでもありそうな監視カメラ。
けれど、さっきまで点灯していなかったはずの赤いランプが、確かに今、小さく瞬いていた。
「……いま、光ったよね?」
「……ああ。……録画されてる」
奏都くんが一歩、カメラから目を逸らさずに前へ出た。
「これ、さっきまでは点いてなかった。俺たちが“何かに近づいた”ってことかもしれない」
「ちょ、やばいって! やばいってこれ、本格的に“消される”やつじゃん!!」
「落ち着け。まだ証拠があるわけじゃない。でも……」
そう言って彼は、小声でぽつり。
「この資料室が、監視下にあるってことは……誰かが、“見られたくない過去”を隠してるってことだ」
「でもさ……誰が? 先生? それとも、生徒会? いや、そもそも何のために……?」
「……それを探るには、やっぱり“仕掛けた側”の視点に近づくしかない」
その目は、まっすぐりんを見ていない。でも、何か決意めいた強さがあった。
「ねえ、奏都くん」
「ん?」
「……こういうとき、普通のラブコメって、もっと青春してると思うんだけど……」
「残念ながら、今のは普通のラブコメじゃない」
「やっぱりーーー!!」
大声になりそうなのを堪えて、机に突っ伏す。


