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『“恋愛禁止期間”における生徒の混乱と記憶障害?』
「当校では一部期間、試験的に“生徒間の恋愛感情を制御する”取り組みが行われた。
一部生徒の証言では、『仲の良かった子のことが思い出せない』『突然、感情が薄れた』などの声も。
詳細は伏せられているが、“感情に関する実験”が秘密裏に行われていたという情報もあり……」
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「……“感情を制御する”って、絶対それ……今のと同じじゃん」
「名前は違うけど、内容はほとんど一致してる。……つまり、これは今回が“初めて”じゃない」
奏都くんが開いていた生徒会議録にも、それを裏付けるようなページがあった。
《20XX年度 生徒会記録》
「今期、数名の生徒が“感情認識システム”を用いたテストを受けていたが、
想定外の副作用として“感情の記録消去”が起きている可能性がある。
問題は一時的とされ、対応は一任された」
「……感情の“記録”を、“消去”……?」
りんは、ぎゅっと新聞のページを握りしめた。
「つまり……アプリって、“恋愛を禁止”してるんじゃなくて……“感情をコントロールする実験”の一部なの……?」
「そういうことかもしれない。学校はずっと、何かを隠してる」
「じゃあ、誰がそれを……?」
言いかけたりんの言葉は、資料室の時計の針が「カチッ」と鳴ったことで遮られた。
音は小さいのに、やけに心臓に響いた。
……まるで、「これ以上は知るな」と釘を刺されているみたいだった。
すると、2人の背後で、壁にかかる監視カメラが、赤い光を小さく点滅させた。


