図書室のさらに奥にある、ひと気のない古いドア。
そのガラス窓には、かろうじて読める文字でこう貼られていた。
《資料室(※教職員以外立ち入り禁止)》
「……絶対、入っちゃダメなやつじゃん……」
りんが小声でそう呟いたすぐ隣で、奏都くんはドアノブに手をかける。
「……開いてる」
「うそ、開いてるの!? じゃあもう入れってことじゃん!?」
「違法じゃない。……多分」
「“多分”って何!? いや、もう完全に探偵ムーブじゃん!」
しずかにドアを開けて中へ入ると、そこには埃っぽい空気と、少しカビっぽい紙の匂いが満ちていた。
棚には年代別のファイルボックスや古い新聞、各年度の生徒会議録が並んでいる。
窓はあるけれど、長いこと開けられていないのか、薄いフィルムのような汚れが光をぼやけさせていた。
「すご……ここ、まるで時が止まってる……」
「……過去に似たような現象が起きてた可能性がある。学校全体に関係してるなら、ここに記録があるはず」
奏都くんは迷いなく棚の一角に近づき、「○○年度 生徒会議事録」と書かれたファイルを何冊か抜き出した。
「わたしはこっちの“校内新聞”ってやつ見てみるね」
棚の下段にずらりと並ぶ綴じられた新聞の束。ひとつひとつに発行日が書かれていて、りんは直感的に“ちょっと古そうなやつ”を選び出した。
パラパラとページをめくる。
最初は文化祭の思い出や生徒会長の挨拶、部活紹介などが並ぶよくある学校新聞。でも——
「……あった。ちょっとこれ、見て」
りんが差し出した見開きの一角には、こんな見出しが踊っていた。


