霧島くんは、りんの顔を正面から見ず、窓の外を見たまま問いかけた。
「……恋愛って、どういうのが理想なんだ?」
「……え、いきなり重い!! しかも真顔で聞かないでよ、心臓に悪い!」
りんは慌てて笑ってごまかしながらも、なんとか答えた。
「うーん……一緒にいて、気をつかわなくて、でもちゃんとドキドキもして。あと、秘密を共有できる関係……とか?」
「ふーん」
「な、なにその反応! じゃあ奏都くんは?」
霧島くんは一瞬だけ黙って、それからぽつりと。
「……くだらないことで笑ってくれる人」
「……それ、わたしのことじゃん……!」
「そういうつもりじゃない。たまたま、思い当たっただけ」
「それがやばいんですけど!? いや今の一言で確実にときめき度3%は上がったよね!?!?」
顔を真っ赤にしながら騒ぐりんの横で、奏都くんはくすっと微かに笑った。
「……頑張って下げろよ」
「悪気ゼロで反則技やめてくれる!?」
残り2分を切ったあたり。りんは、ふと思い切って聞いた。
「ねえ、霧島くんって、今まで好きになった人とかいるの?」
一瞬、彼の目に影が落ちる。
けれど、すぐに平静を取り戻し、目線を落として答えた。
「……秘密」
「え、ずる!絶対いるじゃん、その反応!」
「恋バナって、全部しゃべる義務あったっけ?」
「うわ〜〜〜〜〜っ」
またしても顔から火が出そうになって、机に突っ伏したその瞬間。


