放課後。
図書室の一番奥、誰も来ないような静かなテーブル席で、ふたりはスマホとノートを広げていた。
「ねえ、奏都くん。これ……昨日の“ゲームオーバー”になったって子たち、やっぱり……」
りんは、小さく書き留めたメモを見せた。
昨日まで仲良しだったペアの行動パターン、そして今日の距離感の変化。何組かに共通点がある。
「記憶が消されてる、って仮説……やっぱ合ってるかも」
奏都くんは黙ったまま、そのメモをじっと見つめた。
やがて、ぽつりと呟く。
「……ゲームオーバーって、恋心がバレた時の判定だろ?」
「うん」
「じゃあ、“バレた”って誰に? どうしてそれが“ダメ”なのか……誰が、それをジャッジしてるのか」
りんは一瞬、息を飲んだ。
たしかに……わたしたち、何を見られて、何を測られてるんだろう……?
「この学校のどこかに、もっと決定的な“仕組み”が隠れてるはず」
奏都はノートの端に何かを書き込んでいる。
無表情のまま、でもその筆圧からは、静かな熱意が伝わってきた。
「……何それ、ちょっと探偵っぽい」
「別に探偵じゃねえよ。俺は……」
そう言いかけて、彼は言葉を切った。
「……なんでもない」
なになに……今、“俺は”って……?
思わず食い気味に聞こうとするが、そのとき“ピロンッ”アプリの通知が鳴り響いた。


