恋愛禁止ダンジョン、攻略中。




『タイマー開始:3:00』





スマホに表示されたカウントが、静かに動き出す。
こうやって測ると、3分って短いようで、めちゃくちゃ長い。





「……なんか、気まずいね。」

「うん、めっちゃ。」





なにこの空気。
こんなの、逆に恋に落とさせにきてない!?罠じゃん!完全に少女漫画で見たやつじゃん!ミッション考えた人、出てこい。





「……あの、霧島くんって、しゃべると普通なんだね」

「うん。ふだん、話す機会なかっただけ。」

「そっか〜……あ、あの、手、冷たくない? ごめんね、汗かいてるかも……!」

「ちょっとだけ、あったかい。」

「あったかい!?それフォロー!?え、恥ずかしいんだけど!」





『残り10秒』





時間が進むにつれ、なぜかドキドキは加速していた。


やばい、なんでこんなに心臓バクバクしてるの!?これ、失格のやつ!?


りんは慌てて目をそらして、深呼吸。
頭の中でひたすらチュッパチャプスのプリン味を想像する。ときめき、まぎれろ!




『5、4、3、2、1——』

ピーッ!




『ミッション①、クリア!』




「……や、やったーーーっ!!」





りんが手を放して叫ぶと、教室のあちこちからも拍手と安堵の声が上がる。
達成感と変な汗に包まれながら、りんは心の中で思った。


はあ〜〜……このゲーム、絶対まともじゃない!!


でも、どこかくすぐったいような気持ちも残っていて。
こんなの続けてたら、いつか恋しちゃうんじゃない?





「……次、どんなミッションが来るんだろ。」





自分でも気づかないうちに、りんの心に“予感”が芽生えはじめていた。