そして──そこに表示された、ある“ログファイル”。
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《log_GameOver_0709_Akira_Kose_Mizuki_Sena》
《ゲームオーバー理由:恋愛感情感知》
《処理:アプリ内掲示板晒し処理 / “記憶ブロックB-2 削除済み”》
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「……記憶、ブロック? 削除……済み?
なんか……人間の脳の、フォルダ名みたい」
りんは思わず息をのんだ。
「やっぱり……ただ晒されるだけじゃない。このゲーム、感情を読み取って、恋心ごと“消してる”」
「じゃあ……藤咲さんと早乙女くんがあんなに他人みたいだったのって……本当に“忘れてた”からなんだ……?」
「そういうこと。しかも“バレたら終わり”じゃない。“好きになったら終わり”。これは恋をするな、じゃなくて……恋に落ちたことすら、なかったことにされるゲーム」
「そ、そんなの、ヒドい……!」
りんの手が無意識に机を握りしめた。
「じゃあ、わたしたちも……このまま本当に好きになっちゃったら、記憶ごと消されるの……?」
「──俺は……」
一拍、息を止めたような静けさのあと。
「……消されたくない。ちゃんと覚えてたい」
りんは、その言葉に思わず顔を上げた。
奏都くんの目と、そっと合った。
でも、お互いに何も言わない。
それでも——その沈黙は、少しだけあたたかかった。
でも、そこに恋があるかどうかなんて、まだ答えは出せない。
ただ、ふたりの間に流れる空気が、確実に変わり始めていた。
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