ショッピングモールの帰り道。
手には小さな紙袋、それから買ったクレープ。
「この前、制服でクレープ食べてる子見て、“青春してるな〜”って思ってたけど……まさか自分がやるとは思わなかった……」
「ゲームだし、ミッションだけど。確かに不思議な感覚だな」
なんだか、ミッションの過程で楽しんでしまっている自分もいる。
「でもさ。ミッションって、なんか、最初よりちょっと変わってきてない?」
「……変わってきた?」
「うん。最初のほうは“他人と距離を縮めろ”みたいな感じだったけど、最近は、“もっと仲良くなれ”とか、“心を開け”って言われてる気がしてさ」
りんは、クレープのクリームを舐めながら眉を寄せる。
「なんかこう……“気持ちが本物かどうか”、試されてる感じ。関係性の深さとか……」
「それ、わかる」
奏都が、ふと立ち止まる。
「やっぱり……このゲーム、単に“恋愛禁止”を掲げてるだけじゃない。何か、意図がある。しかも、ただの遊びじゃない。
……感情を操作するために作られてるとしたら、冗談じゃ済まない」
りんも立ち止まり、彼を見上げる。
奏都の目が、どこか遠くを見つめていた。
『記憶がリセットされているかもしれない』
午後の授業後、自分自身が言った言葉。
それがふと頭をよぎって、ぞくり、と背筋に冷たいものが走った。
冗談にしては、リアルすぎる予感。
その言葉の重さに、りんは思わずクレープを持つ手をぎゅっと握った。
「ミッションは全部で10個って言ってたな。……もう、6個目だな」
「6個目……ってことは、あと4つで終わるんだよね」
「……終わったら、どうなるんだろうね」
ふたりとも、答えられなかった。
「このゲームが終わったら、謎を解けないかもしれない。だから……」
言葉にしなくても、伝わった。
今すぐに調べよう。


