「……で、ここ来たわけだけど」
りんは大きなモールを見上げて、手を腰に当てた。
「まさかのデート場所がショッピングモールっていう、庶民派コース!……いいの、それで!?」
「人混みに紛れたほうが、ときめき意識が逸れていいんじゃない?」
「くっ……たしかにそうかも」
「あと、りんが好きそうな雑貨屋があるし」
「……え、好きだけど。わかってるじゃないか、奏都くん……!」
調子に乗って言ったら、すかさず突っ込まれた。
「なんで上から目線?」
放課後の駅前モール。制服のまま、ふたり並んで歩くのがなんだかこそばゆい。周りには同じ学校の制服の子もチラホラ。
でも、隣にいるのが奏都くんだってだけで、ちょっと浮いて見える。
とはいえショッピングはテンション上がる。
「こっちの雑貨屋、入っていい?」
「ん、いいよ」
店内はカラフルな文房具や小物であふれていて、見てるだけで楽しい。
りんは、猫の形をしたポーチに目を輝かせた。
「うわ、これ見て!かわいくない!?」
「猫、好きだよな。ポーチとかキーホルダーも猫だし」
「うん、猫っていいよね、気まぐれで、でもたまに甘えてくるの。……え、なんか似てる?奏都くんって猫っぽいかも~」
「……どのへんが」
いつもならサラッと流されるはずなのに、今日は微妙に返事が柔らかい。というか……ちょっと笑った?
りんは慌ててそのポーチを手に取ってごまかすようにくるくる回した。
「これプレゼントしたらときめき度、逆に下がったりして〜」
「それ、俺に効果あると思って言ってる?」
「くっ……効果ゼロの目だ……!」
なにこの会話!楽しいけど!心が忙しい!


