『ミッション①:ペアの相手と3分間、手をつなぎ続けろ!』
改めて見ても、ミッションは変わらない。
もちろん後ろの席の霧島くんも、スマホを見つめたまま固まっている。
でも、口元をよーく見ると……あれ、ちょっと笑ってる?まさか、楽しんでる!?
……それとも、わたしの反応が面白いだけ?
この人、どっちなの!?
でも、何が何だかわからないけど、ペナルティを受けるのはイヤだ。
りんは、霧島くんの席へ向かった。
机の上でそわそわと指先を合わせながら、霧島くんをチラ見した。
「えーっと……その……手、つなぐ……?」
返ってきたのは、短いひと言。
「……いこっか。……無理しなくていいから」
「い、いこっか!?えっ、めちゃくちゃスムーズじゃん!!」
しかも、なんだか優しい。ただのクール男子かと思ってた。
とまどいMAXのりんは、霧島くんについていく。
霧島くんは教室より人が少ない廊下へ出て、すっと手を差し出してきた。
白くて細長い指。思ってたより、すごくきれいな手だった。
うわっ、なにこれ、漫画の中のやつ!?
戸惑いながらも、ぎゅっと手をつかむ。ぬくもりが、伝わる。
霧島くんは、何も言わずにそのまま手を握り返してくる。
え、ちゃんと握ってきた……! うそ、これ、心臓やばい……。なんだこれ、変な汗出てきた……!
あんまり話したこともない男子と手を繋ぐだなんて、どういう状況!?


