奏都くんは少し黙ったまま、りんの様子を見ていた。
そして、ぽつりとつぶやく。
「たしかに、不安だよな。でも、きっと俺らなら乗り越えられるよ」
「そうかな……?」
「ああ。だって手も繋いで、名前呼びになって、お互いのことを知ったから。……絆が生まれたから」
あらためて口に出されると、なかなか恥ずかしいことをしている。
でも……そうだよね。
何が起こるかわからない不安はまだ完全には拭えないけど。
今までにない新しい“絆”だけど。
でも奏都くんとペアになれたことは、本当によかったと思っている。
前向きに、このゲームをクリアすることを考えよう。
「2人でがんばって、ゲームクリアしよう!」
「まずりんは、ペナルティをちゃんとやれよな」
「あ、」
霧島くんは、口元だけ小さく、ほんの少し笑っていた。
「日誌書き終わったなら、帰ろう」
「うん……!」
当たり前のように、2人並んで帰る。
そのことに、りんの心はポッと温かくなった。
さっきまでの不安が、少しだけ溶けていく。
「2人でなら、きっと大丈夫」——その言葉を、胸の中でそっと繰り返した。


