「ちょ、ちょっと待って! 恋しちゃダメなのに、ペア!?それってどういう!?しかもペナルティもあるの!?」
りんがパニックになっていると、画面に次の文字が浮かび上がる。
《ペア決定:霧島奏都》
「……えっ?」
聞いたことある名前。クラスの男子だ。たしか、席は後ろの方。
話したことはあまりないけど、静かで落ち着いた雰囲気の人だったはず。
わたしが霧島くんと……?
思わずスマホをもう一度見直す。けれど名前は変わらない。
霧島くんはスマホを見つめたまま、ピクリとも動かない。
でも一瞬、眉がわずかに動いた気がした。
……え、ちょっと動揺してる?
当たり前だよね。びっくりしてるの、わたしだけじゃないか。
と思ったとき、画面に新しいミッションが表示された。
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《ミッション①:ペアの相手と3分間、手をつなぎ続けろ!》
※タイムリミットは今日中!失敗するとペナルティ!
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スマホ画面にドンと表示されたその文を、りんは三度見した。
は、は、は……はああああ!?
「えっ、ちょ、手!? 3分も!?」
これってもう……ほぼ、デートの終盤だよね!?
叫びながら周囲を見渡すと、教室内のあちこちでも「は!?」「無理!!」と悲鳴が上がっていた。
恋しちゃいけないのに、ドキドキするミッション。
どう考えても矛盾してる。でも、逃げられない。
……この日から、“禁止された恋”が、始まってしまった。



