わたしは明日香の手を引いて、教室を抜けると、そのままトイレに駆け込んだ。
「ちょ、なに!?」
「人に聞かれたらまずいから!!」
トイレ内がわたしたち2人だけになったタイミングを見計らって、「実は……」とコソコソ話し出す。
「え!? りん、ときめき度42%ってマジ!?」
「しーっ!」
「やばいじゃん! もうちょっとでペナルティじゃん!」
スマホを見つめながら、りんは明日香にすがるような目を向けた。
「ほぼ50%だよ!?つまりアレだよ、もう“晒され一歩手前”なの!!」
「えっじゃあさ、落ち着こう?クールに、無感情モード入るとか」
「よし、それでいく!!!」
【星川りんの・恋愛セーブ計画】
1.霧島くんを“背景の柱”だと思う
2.目を合わせそうになったら、壁を見る
3.物理的に距離をとる(最低1メートル)
4.ときめいたら腹筋10回&深呼吸3セット
「こんな感じでどう?」
「いいと思う!……でも、りん。いつの間にこんなことになってたの? 霧島くんのこと、好きになったの?」
「ない!それはないよ!……たぶん!
たしかにドキドキしちゃうことはあるけど、それは……たぶん、恋愛経験値ゼロだからで……っ!」
不慣れなことがこの短期間でいっぱい起こってるから、心臓がびっくりしてるだけ。
恋ではない!……はず。
明日香がニヤリと笑う。
「でも、りんもキュンキュンすることあるんだ〜。今まで恋愛の話しても、頭にハテナが浮かんでたのに」
「それは……たしかに。なんでだろう?」
まさか……ペアの相手が霧島くんだから。だからこんなに気持ちが揺れる……なんてこと、あるわけ……あるのかな?


