「……さっき、好きなもの、ちゃんと当てたんだな。意外と驚いた」
「へっ!? あっ、うん……まあ!当たると思ってなかったけど!なんか、直感?」
「わりと鋭いな」
「でしょでしょ!?わたし、意外と“人間観察力”高めなんだよね~!」
なんて言いながら、内心では“人間観察どころじゃないわ!”ってガタガタですけど!?
「……でもまあ、」
霧島くんがぼそっとつぶやいた。
「バッジつけて歩くの、俺は見たくないから。調整は、ちゃんとしてな」
え、それってつまり……気をつけろってこと……?私のこと見てるってこと……?
《ときめき度+2%》
うああああああああ!!!ヤバいヤバいヤバい!!
ミッション終わってるのに、日常で上がるとか聞いてない。
こんな調子じゃ、あっという間に50%に達しちゃうよ。
駅のホームが見えた瞬間、終わってほしくないような、妙な名残惜しさが胸に残った。
なんてことのない時間だったのに、足取りが妙に軽い。
「じゃあ、また明日」
「うん。また明日!」
手を振る霧島くんの背中を見送りながら、りんはそっとスマホを確認した。
これ、きっと“恋”とかじゃない。ただの……バグだ。
……そういうことにしておこう。
《現在のときめき度:32%》
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