放課後、購買前のベンチスペース。
りんはパンをかじりながら、前方のベンチにふと目をやった。
そこには——
胸元に、どピンクの「恋愛禁止バッジ」をつけた男子生徒。
あ……つけてる……!
しかも、めっちゃ顔が整ってるタイプ。
その横では、友達と思われる男子が、苦笑しながらぼやいていた。
「お前さ、顔が真っ赤なときに“ちがう”は通じないって。AI見てるんだから」
「うっせーよ……俺が悪いのかよ……!笑われすぎて体育も地獄だったんだぞ……!」
「つーかさ、禁恋日誌、見せてよ。書いてるとこ」
「やだよバカ!“目が合った瞬間、心が暴れました”とか書けるか!!」
その瞬間、パンをかじっていたりんは思わず。
「ぶふっ……!」
吹き出しそうになって、慌てて口を押さえた。
な、なにそれ……想像以上に恥ずかしすぎる……!!
しかも、あのペナルティ、“ときめき度”が50%以下になるまで解除されない。
ずっと、あのバッジをつけたまま。
ずっと、禁恋日誌を書き続ける。
心を落ち着けて、感情をうまくコントロールしなきゃ……
でもそんな器用なこと、わたしにできる気がしない……!


