推しに告白(嘘)されまして。





ーーーーだから別れを受け入れた。

悠里くんに別れを告げられて、胸がギュッと締め付けられた。以前、私が悠里くんに別れを告げた時も、悠里くんの胸はこんな感じだったのだろうか、と思う。

それから最後に悠里くんとキスをした。
何度か唇を重ねたことはあったが、昨日のキスは、唇と唇が触れただけなのに、甘くって、切なくって、苦しかった。

私に別れを告げた後も、私とキスをした後も、悠里くんはやっぱり辛そうだった。
だが、それでも瞳の奥にはもうあの仄暗さはなく、少しホッとした。

胸に悠里くんと別れた喪失感が残る。
けれども、悠里くんの未来に明るい兆しを感じ、安心もしていた。

都会とは違う星空の下。
どの星よりも光輝く私の推しが笑っている。
心からの笑顔ではないけれど、いつかそれは本当の笑顔になる。
それが私は嬉しい。

推しの幸せが私の幸せなのだから。

唇に残る熱も、消えない彼の笑顔も、いつか私の一部になる。

そう自分の中で綺麗に収まってくれればよかったのだが、実際には上手くいかなくて。

悠里くんと別れた喪失感と、悠里くんの明るい未来への安堵と、忘れられないキスの熱。

痛みと安らぎと甘い熱がぐちゃぐちゃに混ざって、私を落ち着かせない。
その結果、一睡もできず、私は朝を迎えてしまっていた。