しばらく忙しなく表情を変えた後、柚子は恥ずかしそうに「…うん。私でよければ」と頷いてくれた。
柚子だからいいに決まってる。
柚子が俺のすぐ側で覚悟を決めたようにまぶたを閉じる。
緊張しているのか、眉間にシワが寄っており、そこがまた柚子らしくて愛らしい。
赤いままの頬をそっと両手で包み込み、ゆっくりと俺は柚子の唇に自身の唇を寄せた。
柔らかくて、暖かい。
本当は許させるのなら何度も何度もこうしたい。
しかしもちろんそんなことは今は許されない。
離れ難いと思いながらも、俺はゆっくりと柚子から離れた。
まぶたを開け、こちらに恥ずかしそうにはにかむ柚子に俺は思った。
やっぱり、好きだな、と。
唇に未だに残るこの甘い熱を、俺はこの先、一生忘れないだろう。



