推しに告白(嘘)されまして。




確かに俺は傷ついている。
俺と同じではないキラキラとした瞳を向けられるたびに、胸がズキズキと痛む。
俺と同じ想いのこもった瞳を華守に向けるたびに、その瞳を覆いたくなる。

だが、傷つくと同時に、それでも柚子が俺と一緒にいることを選び、彼女でいてくれる事実に、嬉しくてたまらなくなるのだ。

傷つきながらも、柚子と一緒だからこそ、幸せを感じられる。
これが俺の選んだ幸せの形だ。

ふと、足を止め、窓の外に視線を向ける。
ここにはこの施設以外光源がない為、星がいつにも増して光輝いて見えた。

…綺麗だな。

そう思った時には、俺は外へと足を運んでいた。



*****



もうすぐ4月だが、日の沈んだ夜はまだまだ肌寒い。
ひんやりとした空気を感じながら、俺はただぼんやりと空を見上げていた。
その時だった。



「悠里くん?」



俺の後ろから鈴の音を転がすような心地の良い声が俺を呼んだ。

ーーー柚子だ。