推しに告白(嘘)されまして。





「食べさせてくれないの…?」



頬を赤く染め、こちらをじっと見つめる悠里くんに、私の心臓がズキューンっと撃ち抜かれる。
お得意のラブスナイパーのご登場だ。

撃ち抜かれた心臓にパニックになりながらも、私は必死に冷静さを装い、悠里くんの言動の意味を考えた。

な、何故、食べさせる流れになっているのか。
冷静に、冷静に、悠里くんと私のやり取りを思い出すのだ。



『俺の班と柚子の班、ちょっとカレーの見た目違うよね?柚子のカレーも食べてみたいな。食べさせてくれる?』



そう、悠里くんは数秒前にこう言っていた。
私のカレーも食べてみたい、と。
それから、食べさせてくれる?、と。

ん?食べさせてくれる?



「…っ!!」



そ、そういうことだったのかー!

今更悠里くんのお願いの意味を理解して、大きく目を見開く。
それからまるでりんごのように頬を真っ赤にした。

何も言わずに、無言で忙しく表情を変える私に、悠里くんが「やっぱり、難しいかな?」と困ったように笑う。



「む、難しくないよ!ちょ、ちょっと待っててね!」



そんな悠里くんに私は考えるよりも先に、必死に首を左右に振り、慌ててスプーンで自分のカレーをすくっていた。