推しに告白(嘘)されまして。




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本日の勉強時間が終わり、夕食準備の時間がやってきた。
この勉強合宿の夜ご飯は、先生によって振り分けられた班で、生徒が調理室を借り、カレーを作る。
私の班には、雪乃、悠里くん、それから学年が違うので、当然千晴もいなかった。
そして料理が壊滅的に苦手な私は、班メンバーにきちんとそれを申告し、私でもできる簡単な作業を任されていた。

今、私が専念している作業はカレーに必要な水を計量カップで測ることだ。
他の班メンバーが野菜や肉を切る中で、私は計量カップに入っている水を睨み、メモリを睨み、また水を睨み、と交互に鋭い視線を向けていた。

全員で協力して、一つの料理を完成させる。
その為に大変賑わう調理室だが、私の班だけは違った。
いや、私の班だけではなく、その周りの班も。



「…て、鉄崎さんがものすごい剣幕で計量カップを見てる」



ある女子生徒が包丁を動かす手を止め、こちらをチラチラと何度も見る。



「お、おい。あれ、絶対、計量カップの水越しに誰か見てるぞ。絶対、違反者見つけてるぞ」



それからある男子生徒は冷や汗を流しながら、ギギギッとぎこちなく首を動かし、こちらを見ないようにしていた。



「き、気を引き締めろ…っ」

「一つのミスも許されなぞっ」



聞こえてくる生徒たちは相変わらずで、思わず苦笑してしまう。
こっちはただ真剣に水を測っているだけなのだが、どうして計量カップ越しに誰かを睨んでいることになっているのか。

…全く、と呆れながらも、間違えるわけにもいかないので、さらに眉間にシワを寄せていると、生徒たちの声が一瞬だけ消えた。
全員が何かに気を取られ、そこをじっと見つめている。
その視線の先は私…いや、私の後ろだ。