*****
バスケ部の部活終了後。
私たちはいつものように並んで街を歩いていた。
最近少しずつ長くなり始めた日差しに、街はまだオレンジ色に染められたままだ。
そんな街には私たちと同じように帰路に着く人で溢れていた。
付き合い始めた頃は一緒に帰ることさえも、頭になかった。
少し経って一緒に帰るようになってからも、今のように頻繁には一緒に帰っていなかった。
けれど、少しずつ私たちの距離は縮まり、付き合うということを根本から理解し、本当の意味で結ばれた後、私たちは気がつけば、ほぼ毎日一緒に帰っていた。
私たちは確かに両思いだった。
私が何も知らなかったせいで。
沈み続ける胸の内に引っ張られるように、自然と視線が下へと落ちる。
するとそんな私に悠里くんはふと、明るい声で言った。
「柚子、ちょっと寄り道しない?」
悠里くんのお誘いに、視線をあげ、悠里くんを見る。
明るい夕日に照らされて輝く悠里くんは、何よりも眩しくて、恋ではなかったと自覚しても、尊い。
私は考えるよりも先に「うん」と頷いていた。



