「大丈夫だよ?今日、体育ないし」
それなのに悠里くんは私の気持ちなど知る由もなく、朗らかに笑った。
oh!エンジェルスマイル!
「い、いや、でもいいよ!保健室に行けば、借りれる体操服あるし!」
なんとか天へと昇りかけた意識をこちらに戻して、必死で悠里くんに訴える。
そんな私を見て、悠里くんは申し訳なさそうな、どこか恥ずかしそうな顔をした。
…え、なんで?
「…あの、これ、俺のわがままなんだ。俺の服を着ている柚子をあわよくば見たいな、ていう…」
言いづらそうに一度こちらから視線を逸らして、再び悠里くんが私を見る。
おそらく意識していないその上目遣いに、私の心臓はズギューンッと撃ち抜かれた。
ま、まさか、ここでラブテロリスト発動とは…。
「わ、わかった…!か、借ります…!」
気がつけば、私は必死で首を縦に振っていた。
推しのお願いには弱いのだ、私は。



