推しに告白(嘘)されまして。






『鉄子先輩の彼氏は悠里先輩ですよね?』

『千晴くんと鉄子はこっそり付き合っている』

『鉄子は悠里くんと千晴くん、2人と付き合っているで合ってますか?』



だが、どの紙を見ても、ふざけた内容のものしかなかった。

目安箱にこれが入っていたというのか。
全くうちの生徒たちは目安箱をなんだと思っているんだ。

広げられた紙たちの内容に呆れながらも「何、これ」と苦笑する。
すると田中はそんな私に淡々と告げた。



「ここ1ヶ月の間に目安箱に入れられたものだ。お前の振る舞いが招いた結果だぞ」

「…はぁ」



まるで私を責めるような田中の言葉に、わけがわからず気の抜けた相槌を打ってしまう。
だが、それも仕方ないだろう。
私に責められる要素など一切ないはずだから。



「私は悠里くんと真面目に交際しているし、こんな誤解を招くようなことは誓って一切してないから。変な噂に惑わされないでよ」

「惑わされてなどいない。事実をお前に伝えているだけだ」

「事実って…」



こちらに厳しい視線を向ける田中に、私は呆れたような表情を浮かべる。
どこをどう見たら目安箱の言い分を聞こうと思えてしまうのか。



「あのさ、たな…」



改めて説明するか、と一度視線を伏せ、言葉を紡ごうとする。
だが、それは田中の強い一言によって遮られた。



「結局お前はどっちと付き合っているんだ?」



だから、何故、そうなるんだ。
田中の問いかけに、頭が痛くなる。