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大変なことになった。
放課後。
私は上の空で風紀委員室の椅子に腰掛け、1人ぼーっと、書類を眺めていた。
目に入る文字の羅列を一応読んでみるが、全く頭に入ってこない。
右から左へとただただ情報が流れていく。
大事な書類を見ているというのに、今の私の行動はその意味を成していなかった。
「…はぁ」
手に持っていた書類を一度机に置き、大きなため息を吐く。
私が今見ていた書類は校則違反者のリストだった。
うちの高校は基本風紀委員の生徒からの注意はただの注意だが、先生からの注意はイエローカードのようなもので、あまりにもそれが溜まるとレッドカードとなる。
そうなれば、成績や内申にも響き、指導、処罰の対象になるのだ。
そうならない為の風紀委員であり、今は次のレッドカード対象者の確認をしていたのだが…。
大変なことになってしまった為、全く頭に入らない。
「…はぁぁぁ」
私は再び大きなため息を吐いて、頭を抱えた。
私の頭を悩ませる、〝大変なこと〟とは何か。
それは遡ること、今日の昼休みのこと。



