推しに告白(嘘)されまして。




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放課後、いつものように風紀委員室へと向かっていると、バスケ部の顧問、冨岡先生に声をかけられた。

『鉄崎!ちょうどよかった!俺、これから会議だから、これ、バスケ部の部室まで届けてくれないか?』

そう言われて渡されたのが、この大きな茶封筒だ。
どうやら練習スケジュール等が入っているらしい大事な封筒を抱えて、私は今、バスケ部の部室へと向かっていた。
その道中、ちらりと封筒の中身を見てみたが、さすが強豪校なスケジュール内容で、私は驚嘆した。
スケジュールによれば、悠里くんの休みはほぼないに等しかった。

一度、校舎外に出て、部室棟へと歩みを進める。
階段を上がり、左から三つ目の部屋こそが、バスケ部の部室だ。

辿り着いた扉の前で私は扉をノックしようとした。



「いやぁ、鉄子さまさまだな!」



だが、部室内から聞こえてきた明るい声に、つい反射でその手を止めた。

…一体、何の話をしているのだろうか。
それも私について。

何も気にすることなく入ってもいいのだが、何故か今はその気になれない。
部室の扉の前で何となく止まっていると、部室内のバスケ部員たちは、私に聞かれているとも知らずに、私についての会話を続けた。