「…はぁ。まぁ、マフラーはいいけど。でもそのピアスはやめなさい。あとセーターも学校指定のものにすること」
呆れながらも慣れた手つきで目の前のネクタイを締める。それからピアスとセーターを順番に指差して、千晴に凄んだ。
「…子猫の威嚇」
「はぁ?何?」
おかしそうに何か呟いた千晴に再び凄む。
すると千晴は「何でもない」と、どこか愛おしげに微笑んだ。
「先輩のお願いだからピアス外すね」
それからそう言って、何故か色っぽく笑い、私の目の前でピアスを外した。
何故、私のお願いになっているんだ。
そんな可愛らしいものでは一切ないぞ。私は風紀委員長として、校則違反者に厳重に注意しているのだ。
「…セーターはどうするの?」
「えぇー。セーター?セーターはこれの方がいいじゃん?だからこのままかも」
千晴を睨みつける私に、飄々と千晴が応える。
そこには、全くもって反省の色はない。



